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バターサンドの「生地」が織りなす独特の味わいを知る

2026.02.02
バターサンドの「生地」が織りなす独特の味わいを知る

バターサンドと聞いて思い浮かべるのは、香ばしい生地と、濃厚なバタークリームの調和ですよね。フルーツやナッツが挟まれた「レーズンサンド」の元祖としても知られていますが、その主役はクリームだけではありません。 実は、「生地」こそがそのお品の印象を左右する決定的な要素であることをご存じでしょうか。

表面のサクッとした軽やかさ、口の中でほどける繊細な粉感、そして最後に残る香りの余韻。
それらはすべて、生地の「素材」と「焼き方」によって計算され、生み出されています。
ここでは、その繊細な感覚をお伝えすることで、“生地づくりの秘密”を交えながら、バターサンドの奥深い世界をご紹介していきます。

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生地が「味」を決める理由

多くの方が“味”と聞くと、甘さや塩味、香りを思い浮かべるかもしれません。
しかし、実際に私たちが「おいしい」と感じる瞬間の半分以上は、“食感”に支配されています。

例えば、同じ材料でも「サクッ」と焼き上げたものと、「しっとり」と仕上げたものでは、感じる甘さが異なります。
これは、舌の上での溶け方と香りの広がり方が違うためで、職人はそれらを計算し、フレーバーや素材を掛け合わせて味を作り上げるのです。
バターサンドの生地は、単なる“器”ではなく、味覚の設計そのものなのです。

【豆知識】バターサンドの生地は「サブレ?」「クッキー?」 

バターサンドの生地は、一般的に「サブレ」に分類されます。サブレはフランス語で「砂」を意味し、その名の通りバターを多く含み、口の中でホロホロと崩れるような食感が特徴です。一方、クッキーはより広い焼き菓子を指し、糖分や卵の配合が多く、サクッとした食感や、噛んだときに弾力を感じる食感まで様々です。

バターサンドの多くが「サブレ」を採用するのは、濃厚なクリームと合わせたときの一体感と、繊細な口どけを最も表現できるからです。

小麦粉で変わる、香ばしさと口どけ

生地を作る薄力粉

バターサンドの生地に使われる主な素材の多くは小麦粉です。 一言で小麦粉といっても、種類によってたんぱく質(グルテン)の量が異なり、食感や香りに大きく影響します。

薄力粉(Low-protein flour)

クッキーやケーキに用いられることが多い、グルテンの少ない粉。
軽やかでホロッと崩れるような口どけを生み、繊細なバターの香りを引き立てます。
バタークリームとの一体感を重視した“口溶け重視”のバターサンドに好まれます。

中力粉(Medium flour)

うどんや焼き菓子にも使われる、ややグルテンの多い粉。
しっかりとした歯応えと、香ばしさを感じられる仕上がりが特徴。
焼き菓子として“香りの主張”を持たせたいブランドが好んで採用します。

全粒粉(Whole wheat flour)

近年注目されているのが、全粒粉やライ麦粉などをブレンドした生地。
粒子が粗く、噛むほどに小麦の香りとナッツのようなコクが感じられます。
バターの濃厚さに負けない“深みのある味”を生み出す、職人好みの素材です。

その他の粉類がもたらす個性

小麦粉以外にも、生地の風味や食感を豊かにする素材があります。

アーモンドプードル(Almond Powder)

豊かなコクと香ばしさ、そしてしっとり感を加えるために使われます。生地に深みを与え、リッチな味わいを生み出します。

米粉(Rice Flour)

近年、グルテンフリーの観点からも注目されています。小麦粉とは異なる、軽やかでカリッとした食感や、お米由来の優しい甘みが特徴です。

【豆知識】小麦粉を使い分ける際のこだわり

職人が使用する小麦粉の基準は、「バタークリームとの一体感を高める口どけ」です。

一般的にグルテンフリーなどが目的とされるのに対し、当社のサブレは薄力粉を採用しています。これは、薄力粉がグルテンの少ない粉であり、軽やかでほろっと崩れるような口どけを生み、繊細なバターの香りを引き立てるためです。

最も重要なのは食感です。サブレが硬すぎると、噛んだ際にバタークリームが潰れてしまいサブレとクリームを同時に味わうことが出来ません。口どけが良くかつクリームとサブレを同時に味わう事の出来る一体感のある食感こそが、TONOWAバターサンドの豊かな味わいを支える職人のこだわりです。 

生地に使われる素材の秘密

バターサンドの生地には、小麦粉のほかにも「砂糖」「卵」「バター(もしくはショートニング)」が使われます。
それぞれの配合比と混ぜ方で、香り・硬さ・口当たりが変化します。

  • 砂糖の粒の大きさ:グラニュー糖はサクッと、粉糖はホロッと。
  • 卵の量:多いとしっとり、少ないと軽く。
  • バターの温度:冷たいまま練ると層ができ、香ばしく。溶かして混ぜると均一で柔らかく。

さらに、素材の「状態」も重視します。
室温や湿度によって粉が吸う水分量が変わるため、その日の空気を読むことも技の一つ。
職人たちは「粉の手触り」で、生地の出来を感じ取るのです。

焼き方で変わる、生地の「香り」と「食感」

バターサンドの生地を焼く

焼き菓子の世界では、「焼く」という工程が最も繊細です。
わずか5℃、数十秒の違いが、生地の香りを変えてしまうからです。

高温短時間焼き(180~200℃)

表面を香ばしく仕上げ、中をサクサクに。
バターが一気に溶け出し、香ばしいメイラード反応が進むため、香り立ちが良く、食感のコントラストが楽しめます。

低温長時間焼き(150~160℃)

じっくりと火を通すことで、しっとりとした食感に。
砂糖がゆっくりとキャラメリゼ(フランス語:caraméliser)され、甘みがまろやかに広がります。繊細なクリームと合わせる“上品な味”を求めるお品に多く使われます。

焼成後、すぐにクリームを挟まず、一晩寝かせる場合もあります。これは、生地が落ち着き、油分と水分が均一に馴染むまで待つためです。時間が味を完成させるといっても過言ではありません。

「音」と「香り」で焼き上がりのサインを感じる

「焼き上がりの音」と「香り」で状態を見極めることができます。

 オーブンの中から聞こえる“パチパチ”という微かな音は、バターの水分が抜けていく合図。
そして、香りが一瞬、甘さから香ばしさへ変わるタイミングが、最も美しい焼き上がりです。

この瞬間を逃すと、生地が焦げて苦味が出てしまいます。
レシピ通りに焼くだけでは生まれない、プロの耳と鼻を駆使してできあがる瞬間です。

TONOWAバターサンドのサブレの焼き上がりには、「クリームの風味を最大限に生かす、繊細な口どけ」を追求した、独自の職人技が凝縮されています。

当社のサブレは、一般的な焼き菓子よりも低温(130℃~150℃)かつ長時間(約25分~28分程度)で焼き、濃い焼き色や強い香ばしさをつけないようにすることです。もし香ばしさが強すぎると、デリケートなバタークリームの豊かな風味を邪魔してしまうためです。

職人は、オーブンの温度や焼き時間をその日の気温や湿度を考慮し、細かく調整し(例:150度から130度へ下げる、生地によって焼き時間を変える等)、焼き色をつけすぎずに水分だけを極限まで飛ばす技術を駆使しています。これにより、サクサクとした軽やかな食感を保ちながら、口の中でクリームと一体となって優しく溶ける、TONOWA独自の洗練された味わいが生まれます。最終的な焼き加減は、気温や湿度に応じて職人が目で見て判断する、経験に裏打ちされたこだわりです。

生地の香りが「記憶」をつくる

生地の香りを楽しむ家族

食べものの香りは、記憶と深く結びついています。
焼きたてのバターサンドの香りを嗅ぐと、ふと懐かしい気持ちになるのはそのためです。

その香りの核をつくるのは、生地の「焼き香」です。ほんのり焦がした小麦とバターの香ばしさが混ざり合うことで、香りに奥行きが生まれます。

ふと香りをかぐと、心や記憶が呼び覚まされることはありませんか?
贈り物としてバターサンドが選ばれる理由は、この“香りの記憶”にあります。

バターサンドがだれもが抵抗なく、美味しいと感じていただける秘密がここにあるのです。

職人の手が生む「TONOWA バターサンド」の生地

TONOWAバターサンドのサブレは、主役であるバタークリームと生産者こだわりのフレーバーを際立たせるために、極限までその存在感を研ぎ澄ませています。

1. 口溶けの一体感を生む設計

サブレ生地には、バタークリームとの「口溶けの一体感」を極限まで高めるため、薄力粉を採用しています。

  • 低温・長時間焼成: 低温で長時間かけて丁寧に焼き上げることで、中のクリームを押しつぶすことなく、サブレとクリームが同時にすっと溶け合うような、理想的な食感を実現しました。

2. 香ばしさを抑える哲学

通常、焼き菓子は香ばしさが魅力ですが、TONOWAのサブレはあえてその香ばしさを極限まで抑えるよう設計されています。

これは、TONOWAが掲げるコンセプトの一つ「生産者とのつながり」を表現するためです。サブレの香ばしさがバタークリームの繊細な風味や、フレーバーの素材本来の味を邪魔しないよう、あえて控えめな名脇役として徹しています。

3. 職人技が支える「焼き色をつけ過ぎない」技術

この特殊な焼き方は、焼き色をつけ過ぎずに水分だけを極限まで飛ばすという、高度な職人技が求められます。

製造工程では、機械的な設定に頼るだけでなく、その日の気温や湿度に応じて職人が目で見て焼き上がりを判断し、調整を行っています。これは、最高の口溶けと素材本来の風味を守り抜く、TONOWAの譲れないこだわりです。

まとめ

バターサンドの“おいしさ”は、クリームだけではなく、生地によって決まります。
小麦粉の種類、バターの温度、焼き加減、そのすべてが一体となって、味わいの調和をつくり出しています。

職人が手で感じ、音で聞き、香りで見極めるその瞬間にこそ、真の「おいしさ」が宿ります。
ぜひ次にバターサンドを口にするときは、「この生地はどんな素材で、どう焼かれているのだろう」と想像してみてください。
その一口は、きっと今までよりも深く、香り豊かなものになるはずです。